WOMENCANFLY.COの連載企画「THE WAY」では、毎月海外で暮らす素敵な女性を紹介しています。
今回ご紹介するのは、シドニー在住の大元志保さんです。英語や日本語の先生として活動しながら、現在は心と体の両面から健康をサポートする「美エナジー・トレーナー」としても活躍されています。プライベートでは、アメリカ人の旦那さんと結婚し、オーストラリアでの子育ても経験されました。日英バイリンガルの長女・エリカさんとは、まるで親友のような関係です。
「縁で繋がった」という仕事やフォトエッセイの出版、映画のような旦那さんとの出会い、一筋縄ではいかないバイリンガル子育てなどについてお話を伺いました!
コンプレックスが、世界に飛び出すきっかけに
志保さんにお会いすると、「かっこいいな」と思わずにいられません。それは173センチという長身や鍛えられた外見だけでなく、努力の積み重ねやこれまでの経験に裏打ちされた、内側から溢れる自信を感じるから。
今でこそ自分自身を好きでいられる志保さんですが、学生時代には長身であるが故に、居心地の悪さを感じていたこともあったのだそう。
「日本に自分が馴染んでいないような気がして。好きな洋服も靴も、私に合うサイズがなかったんですね。それで、海外に行きたいと思うようになりました」
学生時代から英語に興味があった志保さんは、短大で英語を専攻。在学中には、英会話喫茶でアルバイトをし、アメリカ人のボーイフレンドとお付き合いしたこともありました。しかし、交換留学でアメリカにホームステイした際、言いたいことが全く言えなかったことにショックを受け、アメリカの大学へ進学して英語を極めようと決断したのです。
その後、短大を3月に卒業してからアルバイトで学費を稼ぎ、その年の9月にアメリカの大学に入学。目標を自力で達成しました。大学卒業後は日本に帰国し、大手英会話学校の講師として働き始めます。
「アメリカに行ったら、背が高いというコンプレックスもすぐに克服できました。英語が話せるようになったことで帰国後の仕事にも繋がったし、コンプレックスが自信に変わったんです」
好きなこと、得意なことを仕事に
日本では英会話講師として働いていた志保さんですが、オーストラリアに日本語ブームが到来したのをきっかけに、「それならば、日本語を教えてみよう」と単身シドニーへ渡ります。
海外への移住は、お金のことや家族のことなど不安が尽きません。しかし、それらを言い訳にしていては結局いつまでも動けないまま。やらずに後悔するより、失敗してもチャレンジする方がいいと、持ち前の行動力で日本を飛び出したのです。
オーストラリアではまず、ニューサースウェールズ大学で日本語教師の免許を取得しました。そこから約20年、今でも日本語教育に携わっています。
「私は教えるのが好きなんです。大学時代には家庭教師もしていましたし、英会話を教えるのも楽しかったです」
志保さんが好きな「教える」というスキルは、現在のピラティストレーナーやエネルギーヒーラーとしての仕事にも役立っています。
体を動かすことが好きでトレーニングしていたところ、ママ友たちから「私たちに教えてほしい」とお願いされ、トレーナーとしてのキャリアがスタートしました。
出産後に悩まされた腰痛をピラティスによって改善したという経験から、志保さんはピラティスを教えるようになります。そのうち、体と心が繋がっていると感じ、エネルギーヒーリングも始めたのだそう。
「私の仕事は、好きなことや趣味の延長なんです。それらが縁で繋がってここまできました」
今では日本やオーストラリアなど世界中に生徒さんがいて、毎日セッションを行うほか、サロンを立ち上げて毎日配信し、日本女性の起業サポートも行っています。
大きな結果を生んできた、小さな行動
志保さんはこれまでに、日豪でのセッション開催やオンラインサロンの開設、フォトエッセイの出版など、いろいろなことにチャレンジしてきました。
「『やってみたいな』と呟いたら、生徒さんや友人たちが繋げてくれたり手伝ってくれたり。まわりの皆さんのおかげで不思議とどんどん実現していったんです。縁と運に恵まれていると思います」
「縁があったから」という志保さんですが、レスポンスの速さや丁寧な対応を見ていると、決して縁や運だけとは言い切れない、小さな行動の積み重ねを感じます。実際に、友人や生徒さんのお誕生日にはおめでとうのメッセージを送るなど、マメな一面も。
「全部やりたいからやっているだけで、メッセージを送ったりお祝いしたりするのが好きなんですよ」
有益な情報をシェアしたり人と人をつなげたり、そうやって誰かのために動くことを、見返りを求めず続けている志保さんだからこそ、自然と志保さんの夢を応援したいと思う人たちが集まるのでしょう。
まわりの人たちが繋げてくれたチャンスであっても、それを掴んできたのは志保さんです。運や縁の裏にある、日々の準備や努力を感じられずにいられません。
国際結婚、夫婦円満の秘訣とは?
オーストラリアの自然や人々に魅了された志保さんは、永住権を取得した後、アメリカ出身の旦那さんと出会い、結婚します。
日本食が好きな二人は、行きつけのレストランでたびたび遭遇していたのだそう。志保さんに惹かれた旦那さんは、オーナーから志保さんが日本語学校で働いていることを聞き出しました。なんと、その翌日にはオフィスに花束が届いていたのだそう!
「当時、『プリティー・ウーマン』という映画が流行っていたんだけど、なんだか私ジュリア・ロバーツみたいだなと思ったりして。アメリカ人だから、ロマンチックなんですよね」
映画のようなきっかけで出会い、結婚に至った二人。年上の旦那さんには前妻との間に2人の子どもがいました。日本で離婚した場合、子どもたちは親権を得た親のもとで生活するのが一般的ですが、オーストラリアでは1週間ごとに父と母の家を行ったり来たりしながら過ごします。志保さんは、結婚と同時に2人の母親になりました。
その後、旦那さんとの間に長女のエリカさんが生まれ、ますます大忙しに。この時期は仕事をストップし、育児や家事に専念していたそうです。
「シドニーには日本人のマザーズグループがたくさんあります。育児をしていると孤独に感じることがあったけど、そういうグループのおかげで助かりました。不安なことや悩みは、やっぱり日本語で話したいですよね」
一方、多くの女性が憧れる国際結婚ですが、実際のところ悩みも多いのだとか。
「育ってきた文化や言語が違うから、『言わなくてもわかるだろう』は通用しません。だから、言いたいことは言わないといけない。でも、英語は私にとって第二言語なので、支障なくコミュニケーションがとれるといっても知らず知らずのうちにストレスが溜まってしまうんです」
今でこそ慣れましたが、最初の頃は「旦那さんが靴を履いたまま部屋に入ることが嫌」というような、小さなフラストレーションをたくさん抱えていました。しかし、バックグラウンドが違うからこそ割り切れることもあるのだそう。
「言い出せば不満に思うこともいっぱいあるそうですが、全ては自分の考え方次第。感謝の気持ちを大切にしています」
夫婦円満の秘訣は、感謝の気持ちを忘れないことと、相手を受け入れることのようです。
試行錯誤のバイリンガル子育て
長女のエリカさんは、今年16歳になります。英語と日本語を話すバイリンガルで、ふとした時に出る関西弁がとてもキュートです。
「日本に住む私の両親は英語を話せないので、両親が孫であるエリカとコミュニケーションをとるためにも、日本語を話せるようにしたかったんです」
志保さんが行ったのは、エリカさんと話すときは徹底して日本語を使うことや幼い頃から本の読み聞かせや語りかけなどを行うこと。いずれも基本的なことですが、エリカさんが自発的に日本語に興味をもつよう努力してきました。
「大事なのは、本人がやりたいと思うこと。子供もひとりの人間だから、選ぶ権利があります」
実際に、エリカさんの意思を尊重したこともあります。例えば、長期休暇には日本に帰り、現地の学校に短期で通っていましたが、高学年になるにつれ楽しさが薄れていったのだそう。そこで途中からは日本の学校に通わせることを止めました。
「語学に限らず、本人の意思を尊重することを大切にしています。日本語については、幸い祖父母と話す機会がモチベーションになり勉強を続けてくれました。今では日本の家族とコミュニケーションができることを喜んでくれています」
奄美大島に世界中の人が集まる場所を!
トレーニングや英会話など志保さんが受け持つ全ての生徒さんを含めると、その年代は下は5歳から上は88歳までと幅広く、10年近く通い続けている方もいるのだとか。コロナが流行する前には日本でもセッションを行っており、日本には今でも志保さんの帰りを待つ生徒さんが大勢います。
「今はなかなか帰れませんが、コロナが収束したらオーストラリアの生徒さんたちを連れて、奄美大島に行きたいですね」
以前、奄美大島でリトリートを行った際に壮大な自然に魅了された志保さんは、早速奄美大島へのセッションツアーを企画。70歳を超えるオーストラリア人女性4名が参加することになり、準備を進めていました。しかし、計画はコロナで中止に。そのため、まずは彼女たちを連れて奄美大島へ行くことが直近の目標です。
また、いずれは奄美大島でゲストハウスをやりたいのだそう。
「みんなで運動をして、オーガニック料理を楽しんで、英会話を勉強するのも良いですよね。世界中の人たちが集まるような場所にして、『おかえり』と言ってあげられる場所をつくりたいです」
志保さんと話していると、前向きになれるという人がたくさんいます。それは、志保さん自身が前向きなエネルギーに溢れているから。そして、一貫して、自分を信じることや認めることの大切さを伝え続けてくれるからだと感じます。私たちも、まずは自分自身を大切にすることから始めましょう!
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