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執筆者の写真WCF TEAM

WCF Mates Vol. 8 Margaret (JP)

更新日:2023年7月8日


WCF Mates(メイト)!は、WOMENCANFLY.CO.とコラボレーションした人たちの生活を特集して紹介するコーナーです。(オーストラリアでよく使われる「mate(メイト)」は、友人や親しい人を指す言葉です。


Vol.8では、ビジュアルデザイナーであり、台湾とオーストラリアでグラフィック、工業、製品デザインなどの幅広い経験を持つMargaret Hwang(マーガレット・ホワン)を紹介します!彼女は8年以上にわたってOverdue Studioを経営しており、現在は別の会社を設立している最中です。




マーガレットはどんな人?


マーガレットは15年以上、代理店、教育機関、スタートアップ企業などでデザイナーとして経験を積んできました。また、自身のデザインスタジオを運営し、持続可能(サステナブル)なデザインの制作に力を注いでいます。ハンドメイドのクラフトを愛する彼女は、自分のスキルを活かして、新しいデザインを生み出すだけでなく、サステナブルな選択肢を提唱していきたいと考えています。


現在、彼女はハンドメイドのクラフトやホームウェアのアーティストやメーカーを、潜在的なバイヤーや顧客と結びつける中心的なハブを作ることに取り組んでいます。これは、彼女が個人的に感じていた、世界中のハンドメイドのオーナメントを調達することの難しさからくるものでした。既存のコミュニケーション・プラットフォームは信頼できず、彼女は何百人、何千人もの人を深く掘り下げていくことに多くの時間を費やしました。




台湾でのグラフィックデザイナー生活

マーガレットは、台湾で約7年間、デザイナーとして働いていました。そこでは、非常に競争が激しく、常にクライアントが正しいという状況でした。クライアントが何を望んでいても、彼女はなんとしてもそれを実現させなければなりませんでした。多くの場合、それば長時間労働になっていました。


一方、オーストラリアでは、デザイナーとしてのマーガレットはより尊重されていると感じています。クライアントは、プロジェクトを提案し、料金を交渉し、より多くの時間を提供してくれるのです。一つのプロジェクトが終わると、皆でお祝いします。オーストラリアでは、あなたの勤勉さを本当に評価してくれますし、あなたの悪口を言う人はめったにいません。人々は簡単にあなたを許す傾向があります。オーストラリアでは、あなたの気持ちをもっと気にかけてくれます。ただあえて欠点をいうなら、彼女が自分の可能性にもっと高い基準を置きたがっているときに感じることです。




30歳でワーキングホリデー


マーガレットは、30歳になる前にチャンスだと思い、ワーキングホリデーでオーストラリアに来ました。当時は、お金をほとんど持っていなかったので、ワーキングホリデーが海外で生活する唯一の方法でした。当初は、1年間だけ滞在するつもりでしたが、仕事のオファーがあり、友達もできたので滞在することにしました。幸いなことに会社がスポンサーになってビザを取得することができ、現在は市民権で滞在しています。


しかし、すべてが順調だったわけではありません。オーストラリアでの最初の仕事はカフェでした、なぜなら一番簡単な仕事だと思っていたからです。ただ、それが間違いだったことに気が付きます。アボカド、ズッキーニ、ハルミといった食材の名前ですら慣れず、オーストラリアでどのように物事が動いているのかが全くわかりませんでした。結果、試用期間中のあと、仕事のオファーはなく、彼女は落ち込んでしまいました。3ヵ月がすぎると、貯めてきたはずの貯金をほぼ全部使ってしまい、残ったのは600ドルでした。その時は、彼女には2つの選択肢がありました。そのお金で台湾に帰る切符を買うか、努力を続けるか。そして、彼女は後者を選びました、そして、自分の得意なグラフィックデザインの仕事に就くことにしました。




異文化交流で互いに学べること


マーガレットは、台湾の人々に自分たちには多くの才能があることを認識し、物事に挑戦してもらいたいと考えています。そのため、クリエイターがつながるプラットフォームを作ることに取り組んでいます。そして、オーストラリアにはもっと創造性と文化が必要だと感じてもいます。台湾の人たちは、今あるものだけに目を向けるのではなく、もっと積極的に、自信を持って海外でチャンスを見つけることができるはずだと感じています。




長く使える持ち物を長く大切に


マーガレットは、世界中の1500人以上の人々にインタビューを行い、"あなたにとってサステナブルデザインとは何か?"を尋ねました。彼女は、サステナブルデザインが曖昧で広い概念であり、一見、環境に配慮しているように見せかけて、実態はそうではない場合も多くあることに気がつきました。


彼女は、より現実的な解決策を見つけるために歴史に目を向けました。産業革命以前のアジアでは、モノは職人によって手作りされ、何千年も使えるように考えられていました。それは、世代から世代へと受け継がれ、できるだけ長く使われるものであることが、彼らにとって最もサステナブルなデザインだったのです。


彼女が見つけた最も持続可能な方法は、ひとつのアイテムを持ち、それをできるだけ長く使い、世代を越えて受け継ぐことでした。彼女は、世界中の職人たちをひとつのプラットフォームでつなげようとしているのです。



長く使えるモノは、最もサステナブルです。新しいものをひとつ作れば、それは無駄になってしまいます。だから、リサイクル可能な選択肢を探すのではなく、何年も大切に使えるものを作ればいいのです。昨今、使い捨ての文化が台頭し、現代社会は安価で簡単に交換できる代替品を、あまり意図せずに何度も購入するようになりました。数ドルのものを買って、1カ月後には捨ててしまう。これは環境を破壊する一つの方法です。もうひとつは、巨大なマーケティング・キャンペーンと少なくとも月に一度のセールで人気のあるデザイナーズ・ブランドの家庭用品です。なぜその道具を使うのか、という疑問を持つことは、もうありません。




例えば中国茶を出すとき、もう1秒でも長く淹れると味が変わってしまう微妙な違いがあります。5人で同じ味を楽しむには、1つの大きなカップにお茶を注ぎ、温度が変わらないように配ります。文化的な観点からお茶を理解しようとすればするほど、人々はもっとゆっくりと、特に技術的に無限の雑念があるこの世界では、もっと人生に感謝するようになるかもしれません。だからこそ、現代の生活ではストレスや精神的な問題を抱えることになるのです。現代は大量生産と消費主義で、何も意味がないように感じることもありますが、昔はすべてに理由があり、筋が通っていたのです。




文化、工芸のライフスタイルへの融合


マーガレットが展覧会とワークショップを組み合わせた理由のひとつは、お茶を飲むことで得られる文化的伝統に触れてもらうためです。中国、日本、韓国の人々にとって、お茶はただ飲むだけでなく、飲み方、味わい方、カップのデザインや形も重要な要素です。私たちの祖先がなぜそうしてきたかを考えれば、すべて納得がいくのですが、今は何も納得がいきません。私たちは、セールで一番安いものに引き寄せられ、それを買ってしまうのです。マーガレット自身にとっても、これは旅であった。お茶の先生と話し、自分たちの文化について知らないことがいかに多いかを知りました。だから、ここオーストラリアのアジア人コミュニティーに自分の発見を伝えることが自分の責任だと感じているのです。


マーガレットは、旅を通じて世界中の職人作品や家庭用品を集めてきました。友人を夕食に招くと、必ずと言っていいほど、どこで買ったのか聞かれるそうです。


もし、私たちがアーティストをサポートすれば、ハンドメイドのアイテムが増えるでしょうし、ハンドメイドが価値を生むと思います。機械を使わないことで、エネルギー消費量も減り、伝統も継承され、会話も増える。「なぜ、お茶はこのように飲むのか」「なぜ、茶碗はこのような形をしているのか」など、教育的な会話をする機会にもなります。「なぜティーカップはこの形をしているのか?どの国にもそれぞれの伝統があり、学べば学ぶほど、より多くのことを理解できるようになるのです。


中国に「西呉 ‘xi wu’」という考え方があります(「西」は大切にする、「呉」は品物を意味します)。これは、今あるものを大切にし、捨てないという意味です。同様に、日本では割れた陶器を金粉で補修する「金継ぎ」という考え方があります。マーガレットさんが金継ぎのワークショップを企画したのは、あるアーティストの作品を受け取ったとき、途中で割れてしまったのですが、それを修理することができたからです。金継ぎは忍耐力が試されます。お皿の欠けひとつを直すのに4時間、全部で5日間も待たされます。とても繊細で、思い出のあるものがひとつでもあれば、どれだけものを大切にできるか、子どもたちに伝えていけるか、考えさせられます。



WCFとのコラボレーション


マーガレットは、シドニー・スタートアップ・ハブにあるスタートアップ・インキュベータ、ザ・スタジオのアクセラレータ・プログラムで初めてKimiyo(WCFの創設者)と出会いました。その起業家プログラムに参加してから2年近く経った今も、マーガレットはキミヨは常に情報交換をしている。そして、今回、シドニーでアジアの工芸・文化展を推進し、女性講師によるお茶や金継ぎなどのワークショップを広く進めることに至ったのだ。二人は異文化やコラボレーションを推進する女性経営者として、同じ目標に向かって活動しているのですぐに意気投合しました。





















マーガレットが「Thirst(渇き)展」をキュレーションした動機は、人と人をつなぐことでした。この展覧会とワークショップは、まさにそれを実現するためのものでした。また、このプロセスは、彼女のビジネスアイデアを検証するための方法でもありました。韓国、台湾、日本のアーティストと一緒に仕事をすることで、彼らのプロセスや苦労を知ることができました。決済や発送など、彼らの信頼を得るための方法を学び、今後のビジネス強化に役立てたいと考えている。そして、これまで縁のなかったアジアのショップや職人たちをつなぐことができたのです。


こうしたアーティストを延々と探し続ける中で、マーガレットは市場の隙間を見つけました。アーティストを見つけるのは難しいし、既存のプラットフォームは、彼女のコミュニケーションやコネクションのニーズに応えてくれませんでした。もし、オーナーやギャラリー、アーティスト、インテリアデザイナー、建築家などを閲覧することができ、Instagramのスパム受信箱にメッセージが残ることがなかったらと想像してください。マーガレットは、そのようなプラットフォームの実現を目指しています。


ぜひマーガレットの想いがつまったアジアン茶器の展示会「Thirst(渇き)展」にお越しください。



Margaret Hwang

(マーガレット・ホワン)


台湾とオーストラリアでグラフィック、背景、展示会、工業デザイン、製品デザインなど幅広い経験を持つビジュアルデザイナー。Overdue Studioを8年以上運営し、現在は別の会社を設立しています。


▶︎開催間近 「Thirst(渇き)展」

Overdue X シドニーデザインウィーク


▶︎「Thirst(渇き)展」は2022年9月17日から10月2日まで開催される予定です。


▶︎住所:Between Lines 105 Wilson Street Newtown, Sydney


▶︎展示会についての各イベント情報・申し込み方法は下記のリンクより









Overdue Studio (@overduestudio)



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